プロジェクトを開始する

Eclipseはパースペクティブとビューから構成されています。パースペクティブとは関連するビューをグループにしたもので、作業内容によって異なるパースペクティブを使い分けることができます。例えば、Eclipseを使い始めたら、JavaパースペクティブとCVS(SVN)パースペクティブを使うことになると思います。Javaパースペクティブは、Javaファイルを編集するために必要なビューをすべて備えています。パッケージエクスプローラ、クラスブラウザ、プログラムリスト、ソースコードエディタなとがあります。CVSパースペクティブは、リポジトリブラウザ、リビジョンブラウザ、同期ビューなどを備えています。しかし、このチュートリアルの目的はWOLipsパースペクティブを使うことにあります。WOLipsパースペクティブはJavaパースペクティブに非常に似ていますが、WebObjectsに関する機能をいくつか追加してあります。

プロジェクトを始める前に、まずWOLipsパースペクティブを設定する必要があります。

1. ウィンドウの右上に、パースペクティブを選択するアイコンがあります(図6.1.1[ウィンドウ])。

   図: ウィンドウ

   

2. WOLipsがパースペクティブのリストの中にないので、追加しましょう。パースペクティブを追加するアイコンをクリックし、「Other」を選択します(図6.1.2[パースペクティブの追加])。

   図: パースペクティブの追加

   

3. リストからWOLipsパースペクティブを選択し、「OK」をクリックします(図6.1.3[パースペクティブを選択])。

   図: パースペクティブを選択

   

4. ウィンドウがWOLipsパースペクティブに切り替わり、先程のパースペクティブアイコンにWOLipsパースペクティブが追加されたことがわかります(図6.1.4[WOLipsパースペクティブ])。

   図: WOLipsパースペクティブ

   

1. パッケージエクスプローラで右クリックメニューを表示し、「New」＞「WOApplication」を選択します(図6.2.1[WOApplicationを選択])。または「File」メニューから「New」＞「Project」＞「WOApplication」を選択します。

   図: WOApplicationを選択

   

2. 「New WebObjects Project」ウィンドウが開くので、プロジェクト名を入力します(図6.2.2[プロジェクト名を入力])。ここでは「WOLipsTest」と入力しています。「Finish」をクリックすると終了です。

   図: プロジェクト名を入力

   
3. パッケージエクスプローラに空のWOApplicationプロジェクトが作成されます。これでアプリケーションを開発できるようになりました。次のチュートリアルへ進みましょう。

パッケージエクスプローラには、ソースコード・フレームワーク・JARファイルなどが含まれています。

src

デフォルトのソースフォルダであり、Javaのソースコードが含まれています。このフォルダは基本的なフォルダで、どのフォルダもファイルシステム上のフォルダと関連があります。

WO Frameworks

プロジェクトに必要なフレームワークを含む、仮想的なフォルダです。次以降のチュートリアルで扱います。

JRE System Library

プロジェクトをビルド・起動するのに必要なJARファイルを含む、仮想的なフォルダです。

build

アプリケーションをビルドしたファイルを含む、内容が動的に更新されるフォルダです。アプリケーションに変更を加えると、EclipseとWOLipsは自動的にコンパイルを行い、その結果をこのフォルダに入れます。Eclipseからアプリケーションをデバッグ・起動すると、このフォルダの実行ファイルが使われます。この自動的なコンパイルは、Eclipseの中でも最も便利な機能です。ソースコードの警告やエラーがすぐわかり、アプリケーションを常に最新の状態に保つことができます。

Main.wo

デフォルトのコンポーネントです。このコンポーネントもプロジェクトのテンプレートとして含まれています。コンポーネントはプロジェクトのルートにある必要はなく、サブフォルダに含めても構いません。

Main.api

MainコンポーネントのAPIファイルです。APIファイルはバインディングを定義しており、WOLipsはAPIファイルを参考にしてコンポーネントのバインディングを検証します。例えばMainコンポーネントのバインディングを定義すると、定義されたバインディング以外のバインディングが行われていれば、問題ビューにエラーが表示されます。

WOLipsのデフォルトの設定では、プロパティファイルやbuild.xmlなどのファイルがパッケージエクスプローラに表示されません。これはEclipseが表示するファイルをフィルタリングしているためで、設定を変更することで見えるようになります。

1. パッケージエクスプローラのバー右端にあるメニューをクリックし、「Filters...」を選択します(図6.4.1[フィルタメニュー])。

   図: フィルタメニュー

   

2. 「Properties (WOLips)」のチェックを外し、「OK」をクリックします(図6.4.2[フィルタを変更する])。同様にして、表示したいファイルのフィルタを外します。

   図: フィルタを変更する

   
3. パッケージエクスプローラに、フィルタのチェックを外したファイルが見えるようになります。

Eclipseをインストールした直後では、WOLipsプロジェクトを作成すると問題ビューに次の警告が表示されます(図6.5.1[プロジェクト作成後の警告])。

図: プロジェクト作成後の警告

これについては、Chuck Hill (Practical WebObjectsの著者)に対処を教えていただきました:

「これはエラーではなくて警告です。無視しても大丈夫ですが、こうすれば取り除くことができます:

「Window」メニューから「Preferences...」を選択し、設定ウィンドウでは「Java」＞「Compiler」＞「Errors/Warnings」の順に選択します。この中にある「Potential Programming Problems」という項目を展開し、先頭にあるエントリを確認してください(図6.5.2[「Potential Programming Problems」])。

図: 「Potential Programming Problems」

先頭のエントリの「Serializable class without serialVersionUID:」を「Ignore」に変更して、「OK」をクリックします。プロジェクトを再ビルドするか聞かれるので、「YES」をクリックして再ビルドします(図6.5.3[エラー・警告の設定の変更])。

図: エラー・警告の設定の変更

ホラ、もう警告は出ないでしょ？」

下図のファイルリストがすべて表示されなかったり、ソースフォルダが図のようなアイコンにならないことがあります。現在このバグの原因を調べていますが、まだ修正されていません。このバグではテンプレートが競合状態に陥ってしまい、Java/WOLipsのプロジェクトが正しく生成されません。自動的なコンパイルができないのはもちろん、プロジェクトに必要なフレームワークも含まれなくなります。

図: ファイルリスト

こうなってしまったらプロジェクトを作り直すか、プロジェクトを開き直してください。プロジェクトを開き直すには、次の手順を実行してください。

1. パッケージエクスプローラでプロジェクト名のフォルダを選択します。
2. 右クリックメニューから「Close Project」を選択します。
3. 同様にして「Open Project」を選択します。